第15話 継ぎ足し二階が、なぜダメか
既に建っている家の上に、二階を増築することを「継ぎ足し二階」という言い方をします。
家族が増えて、二階を建て増しして、各人に子供部屋などを作ってあげたいという親ごころではありますが、これは可能な限りやらない方がよいのです。
こんな例がありました。子供さんが三人になったので、少し大きくなったときにそれぞれに子供部屋を持たせてあげたいと、二階を建て増ししました。
ところが、それまでは朝までよく寝ていた子供達が、夜、寝た後で起き出しては、次々と階段を転げ落ちてくるということが起るようになりました。
親御さんは、「寝ぼけて、階段を落ちるのだろう」それでは、危ないからと階段の一番上に柵をつけて、子供が落ちないように工夫したのですが、それでも小さな子供達は、どうやってその柵を乗り越えるのか、何度も階段を落ちて来たそうです。
三人の子供達は、二階の子供部屋で夜寝ていると、「怖い夢をよく見るようになった」「お化けを見た」「金縛りによくあう」などと言い出しました。
親御さんは、今まですぐそばで寝ていたところから、個室で暗い中、一人で寝るようになったから怖がるのだろう、そのうちになれるとあまり気にしなかったようですが、まもなく一番下のお子さんにテンカンの発作が出るようになってしまいました。
ひどいときには、気を失いかけるほどの時もあったそうです。親御さんは、発作を見ているときには、なすすべもなく、見ているのが本当に辛くて「何とか生きていてくれさえすればいい」という気持ちであったそうです。
あるご縁で、私が祓い清めを頼まれたときに、原因を探ったら、なんとはじめに家を建てたときに上棟祭をして、大黒柱にお呼びした神々様の頭の上に「継ぎ足し二階」という形で、押さえてしまっていることが分かりました。
上棟祭の時、大黒柱に神様がお入りになられるのは、柱の一番上に近いところです。実際に上棟祭をきちんとしたお家の柱には、屋根裏(柱の一番上ぐらいのところ)に、神様のお守り札などが貼られていると思います。
ところが「14話の 家を建てかえると一家の主が倒れるって本当?」でもお話ししましたが、神様が入られたまま、その頭の上に二階をどーんと乗せてしまう形と成っており、神様が動けない、金縛りのような状態になっていました。
そして神様がお力をお出しすることが出来なくなったために、悪いものがはびこってしまい、このご家庭の場合は、子供さんが怖い夢を見たり、お化けを見たという事が起ったのでした。
ですから「祓い」だけではなく、そのお家の人にもよくお話をして、神様にお断りと、お詫びをしてもらいました。
その家の人たちは、お酒や鯛をお供えして、「知らなかったこととは言え、家を守って下さい、とお願いしておきながら、長い間本当に失礼をしました。」と心からお詫びをされたそうです。
不思議なことにその後、息子さんにテンカンの発作は一度も出なくなりました。その息子さんは、中学生でしたから、家を建てて十年以上、幼いときからのテンカンの持病に苦しんできたことになります。
親御さんが、話された言葉が印象的でした。
「子供達によかれと思って、二階を建て増ししたのですが・・まさかそれが長年の悩みだった、子供のテンカンの発作の原因であったり、怖い夢などで子供達の眠りを妨げているとは、夢にも思いませんでした。こんな事が分かっていたら、たとえ借金をしても、あのとき、家を全部立て替えたのにと思います。」
特殊なお話しのように聞こえるかもしれませんが、継ぎ足し二階に住んでいる方の中には、頭痛持ちや首に問題がある人、そして熟睡できない人、夢見が悪い人は、案外多いのです。
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