第17話 田の神様、畑の神様のお話
山には、山の神様がいらっしゃるのと同じように、田には、田の神様がいらっしゃいます。山に対しては、平地の神様でよいのではないかと思われるかもしれませんが、産土の神様の他に、野の神様、田の神様、畑の神様、などがいらっしゃいます。
野原は、自然のままですが、田んぼも畑も、人がお米や、特定の作物を実らせたいと願って作る土地だからです。自然の中には、たくさんの種が飛び交っています。アスファルトの道路などで、地面を覆ってしまっているところだけに住んでいると、気がつかないのですが、畑でも、宅地でも、しばらく手をかけないでそのままにしていると、あっという間に雑草が生い茂ってしまいます。
そんな中で、お米や野菜、果物など、特定の作物をこの土地に主に実らせたいと、人はそこに田んぼや畑を作りました。そして畑を耕したり、種を蒔いたりして、水田であれば田起こしをし、水を引いて、田植えをしていきます。
その「いいお米が取れますように」「いい作物が取れますように」という人の願いに応えて、田の神様、畑の神様が共にお力を出して下さるためです。
ですからなるべくその土地で取れた作物の種を使って、次の年の作物を作ると土地との相性も良く、虫なども寄せ付けない良い物が出来ると言われています。つまりその土地の田や畑の神様のお力が加わった物です。
最近は、その種も外国の種会社で作られたものを買って作ることが多いと聞きましたが、それはFI品種とかで、農薬などをたくさん使わなければならないように、さらに一年限りしか実らない、次の年にその種を蒔いても決して実らないように設計されているのだそうで、田の神様や畑の神様のお力は、ほとんど頂く事が出来にくい状態になっています。
種会社やさらに肥料や農薬などの会社の儲けのためには、必要な事なのかもしれませんが、自然栽培の方達は、はじめ自家採取の種を譲り受け、それを蒔いて土地との相性の良い種を作り出していくと、数年で肥料や農薬などに頼らない丈夫な作物が出来るのだと聞きました。
農薬や肥料が当たり前と思っているときには、はじめ不思議に思っていましたが、それが田の神様や畑の神様が加えて下さるお力なのだと思います。
特に田んぼは、「日本の国は、瑞穂の国」という言葉があるように、水田として他の作物とは異なる独特の作り方をし、そして実ったときには、「一粒一粒に神様の御霊を込めて頂く」と言われています。
それは単なる食べ物としてではなく、日本人の精神に大きな力、感性を与えてくれる力を持っています。どこの国も、その国の主食としての物はありますが、日本人にとってのお米はこうした特別の意味があります。
外国の人が不思議に思い、また感嘆する日本人の独特の感性や、精神力を養う力ともなっているのではないでしょうか。
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