第23話 海幸彦、山幸彦の話
古事記の中から、海幸彦・山幸彦の話をさせて頂きたいと思います。 天孫降臨の邇邇芸命(ニニギのみこと)様そして木花咲耶(このはなさくや)姫。木花咲耶姫というのは浅間(せんげん)神社のご祭神です、富士山です。日本一の富士の山、木花咲耶姫様は、日本一の美人であるとも言われています。 このお二人の仲にお生まれになったご長男が、 火照命(ホデリのみこと)です。 そして次男が火須勢理命(ホスセリのみこと)、 そして三男の方が火遠理命(ホオリのみこと)で、別の名前を穂々手見命(ホホデミのみこと)様とも言います。 火須勢理命様は名前が一ヵ所出てくるだけで、後は何も分かりません。何をされた方かも書かれておりません。そして火照命様と仰る方、この方が海幸彦です。火遠理命様が山幸彦です。海幸彦・山幸彦は、このお二人の間でのお話です。 それでこの山幸彦の神様が狩猟に出かける。鹿とかイノシシとかそういった動物を捕らえに行く。そして海幸彦の方は毎日海へ出て魚を獲っていました。 ところが火遠理命、山幸彦様が、「毎日毎日同じことをやるのだから、たまには、お兄さんの釣り竿と、私の弓矢を交換して、いつもと違うところで猟をしてみませんか。一度交代してみよう」という事を申し出るのですが、海幸彦は、「私は、海で釣りをするのが合っているよ。山に行きたいとは、思わない」と、中々言うことを聞いて下さらなかった。 しかし山幸彦が、余りにも何度も言うものですから、「じゃあ、一度だけだよ」と言って致し方なく、ある日交代をするわけですね。それで海幸彦の釣り道具一式、そして山幸彦の狩猟、弓矢でしょうね、昔ですから。鉄砲はまだなかったと思います。そういったものと交換をしました。 ところがその日は山へ行った火照神様、海幸彦も何一つ狩猟が出来ない。そして火遠理命様の山幸彦も魚一匹も釣れない。そして最後にお兄さんの大事なつり針そのものを無くしてしまいます。 そしてお互いに何の獲物も獲れませんでしたよということで、交換をするときに「実は、針をなくしました」ということを、山幸彦が言うと、お兄さんが大変に怒ります。 そこで自分の刀を釣り針に変えて五百針を作って渡すけれども、ウンと言ってくれない。更にもう一つの刀で五百を作って千にして返すけれども、ウンと言ってくれないということで、山幸彦は途方にくれて、海辺でしくしくと泣いておられた。 そこに塩土(しおつちの)神様が来られて、「なぜ、おまえはそんなに泣いているのか」と聞かれたので、山幸彦は、訳を話します。 「私は、兄の大事な釣り針を海になくしてしまいました。お詫びに、千本の釣り針を作って渡しましたが、もとの釣り針でなければダメだとどうしても兄は許してくれないのです。この広い海の中で、どうして小さな釣り針を見つけることなど出来ましょうか」と。 そうしたら塩土の翁は、「この小船に乗りなさい」と言って、小船に山幸彦を乗せて、力一杯後ろから押してくれました。そしてこう言います。「それで小舟の進むままに任せて流されていくと、海の中の道が現れます。それに従って、暫くいくと、あるところに着くから、そのときにはそのお屋敷の所にある井戸、そのそばにある桂の木に上っていなさい」 実際に山幸彦は、竜宮城のような立派なお屋敷の所に到着します。そして言葉の通りに井戸のそばに桂の木がありました。山幸彦は、言われたとおりに、その木に登ってしばらく待っていると、おそらく侍女そういった方が井戸の水を汲みに来ます。その井戸に山幸彦の姿が映っていました。 山幸彦は、「井戸の水を一杯下さい」と頼み、自分の玉飾りを口に含み、ぷっとその器の中に入れます。女の人は、驚いてその玉飾りを取ろうとしますが、入れ物のそこにぴったりとくっついて離れません。 そのままお家の中に入ってお姫様にそのことを報告します。これが豊玉姫(とよたまひめ)なのです。 24話 に続きます。
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