第37話 歳神様をお迎えする
前回、『一夜飾りは、なぜダメか』のお話しを致しました。
ではどんな飾りを、三十日までにしておくと良いのでしょうか。
まず玄関に門松を飾ります。
昔から一般に、松は歳神様の依り代と言われ、歳神様が宿る安息所であり、神霊が降りてこられる際の目標物として門松を飾る風習が出来たと言われています。
そして歳神様とは、お正月にぞれぞれの家にお迎えする神様のことで、その神様に感謝の気持ちでお迎えする為に門松を飾るという意味も込められていたとされています。
正しくは、歳神様をお迎えする為のものです。
門松の言葉は、『神様のお越しを、松(待つ)』と言う意味でもあります。
ただ一般に言われているような神様の依り代や安息所ではありません。また歳神様は、お正月の間だけ来られていると思われているようですが、その年一年その家を守るためにいて下さるのです。
もし歳神様の依り代が門松であったら、歳神様は家の外にいて、その家の中には入っては来られないことになります。また松の内が開け、松飾りなどを外した後は、その家に歳神様の居場所はない(=いらっしゃらなくなる)ことになってしまいます。
正式な門松をご用意するには、十二月の初め頃から注文する必要がありますが、
二十五日頃から、お正月用品などを売るお店で簡易な門松などは販売しています。
では歳神様は、どこにお迎えしたらいいのでしょうか。
床の間がある家は、床の間にお迎えします。床の間の掛け軸を普段のものから「初日の出」や、「鶴亀」などの、お正月にふさわしいおめでたい掛け軸に掛け替えてお迎えします。
床の間には、鏡餅も飾ります。
鏡餅は、鏡開きまでの間に次々と神様のお力が込められますので、中に小さなお餅の入っているものは避けて下さい。お力が分散してしまいます。
またお年玉も、三宝などにのせてご用意するとよいでしょう。これはお正月になって床の間に乗せるので大丈夫です。お金を何日も出しっぱなしにしておくのも不用心ですので。
お年玉は、普段のお小遣いとは別の「子供にとっての臨時ボーナス」位に思っている人が多いと思いますが、歳神様のお力を頂いた、その年の魂(玉)をそれに託して頂くのです。
そこに親御さんの、「この子がその年一年、健康ですこやかに育ってほしい」という思いも込めて渡してあげると良いでしょう。
お正月に、家長(お父さん)が、床の間の歳神様に新年のご挨拶をした後で、長男から順に渡します。
床の間のないお宅は、神棚のところか、机などに白い紙を敷いて鏡餅などを飾って下さい。大事なことはそこに歳神様をお迎えするのだという気持ちです。
もちろん神棚のあるお宅は、しめ縄なども遅くとも三十日までに取り替えて新しいものにしておきます。
ではどうぞ良いお年を!
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