第42話 神迎えの神事 (四季の神様) 床の間に飾る掛け軸のヒント
節分というと、二月の節分の豆まきが有名ですが、本来の「節分」は、四季を分ける全ての時にあります。つまり一年に四回あり、立春、立夏、立秋、立冬の前日が節分にあたります。
昔は、『神迎えの神事』として、それぞれの節分には、春の神様、夏の神様、秋の神様、冬の神様を各家にも、それまでの季節の神様にお礼を申し上げ、そして新しい季節の神様をお迎えする行事をしていました。
日本は四季があり、それぞれの季節を大事にして、その季節と共に自然と共に過してきました。今は、冷暖房完備で季節の変化を感じにくいのですが、季節を愛でることは日本人が昔からしてきた習慣でもあり、自然を肌で感じる事で魂の感性もずっと良くなっていきます。
「季節の訪れと共に新たな神様が来られる」「自然の中に神様はいらっしゃる」それをお迎えしないで、気がつかないまま、心を荒ませているのが現代人かもしれません。ご存知の方は少ないかもしれませんが、伝統あるお家は、実は今でもこうしたことをちゃんとしています。
歳神様をお迎えするのは、本来はその家の床の間にお迎えします。家に床の間のある家の場合、春の神様、夏の神様、秋の神様、冬の神様をやはりそこにお迎えして、可能であれば、掛け軸をこのとき(お迎えする前に)に掛け替えることなどをされたらよいと思います。
掛け軸には、一般にお正月や結納などのおめでたいときに掛ける掛け軸と、普段の時に掛けておく山水画などがありますが、四季を表わす掛け軸もあります。
掛け軸を、ただ床の間を飾るものとして捉えていると、どんなものでも良いようですか、本来はそこに来て下さる神様にふさわしいものが良いのです。
四季の掛け軸には、春にふさわしい掛け軸、夏にふさわしい掛け軸、秋にふさわしい掛け軸、冬にふさわしい掛け軸があります。よく掛け軸で、四季の花、全てが描かれているものがありますが、それはやめた方がよいです。
四季の花が一斉に咲き乱れたら、それは狂い咲きです。自然を乱すようなことをせずに、自然をそのまま受け入れ、感謝して過す。これは日本人が昔からしてきたことでもあります。それぞれの季節にはその季節の神様の恵みを受けて、その季節を彩る独特の花が咲きます。そう考えると心豊かになると思いませんか。
しかし四季毎に、掛け軸を掛け替えるのも大変なときには、ハレの日、普段の日に分けて、おめでたい絵柄の掛け軸と、普段に掛けておく山水画の掛け軸などにされたらよいと思います。
要は、真心を込めて神様をお迎えする事が大事で、無理をせずに、しかし最大の真心を込めてさせて頂くことです。
そして、年四回の節分には、季節の神様にご挨拶をしています。
神迎えの神事というと大げさに聞こえるかもしれませんが、要は神様をお迎えする心があるかどうかが大事なのです。
「神の国、日本」と言って、総理の座を追われた方もいらっしゃいますが、自然の中、季節の中に神様を感じ、心豊かに過していくこと、そんな神の国で過ごせる人でありたいものですね。
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