第46話 ひな祭りの由来
3月3日は、ひな祭りです。
女の子の節句として、ひな人形を飾り、ひなあられを食べたり、お白酒(子供さん向けにアルコールの入っていないものもあります)を飲んだりして、祝います。
一般に、ひな祭りは、中国からその習慣が来たと言われていますが、本当は日本の神代の時代からはじまったものです。
その神様は、「神世七代の神様(天照大御神様よりもずっとご先祖の神様)」の三代目の神様です。
その神様のお名前は「ういじにの神様」「すいじにの神様」というお二方のご夫妻の神様で、結婚のしきたりを定められました。
この神様のお話をご紹介します。
昔、越の国に男の子が生まれ、その握りしめた手に桃の種を握りしめていました。その種を地面に植えたところ、三年と三月三日後に、百の花が咲き、そして百の実がなりました。
そこでその木を百(もも)=桃の木と呼ばれるようになりました。
その男性の神様を「桃雛木(ももひなき)の神様」、女性の神様を「桃雛実(ももひなみ)の神様」と呼ばれ、成長していきました。男性の神様は「き」と言い、女性の神様は「み」とか「め」と言いました。木に実がなって種となり、循環することを意味しています。ですから、「君」というのは、本来は男性と女性の両方を意味するのです。
やがてお二方は、大きくなり結婚をすることになりました。その時にある神様が、お祝いにお酒を持ってこられました。それは、竹の切り口に雨水が溜まっているところへ、雀が籾殻を運んできたものが発酵してできたもので、「ささ」と呼んでいました。
お二人はささ(お酒)を入れて酌み交わしました。それは、新婚初夜の「床神酒」と言い、現在の結婚式にする「三三九度」の杯・盃の始りとなりました。
その後お二人は、縁側に出てお酒を酌み交わしました。その時お酒を入れた杯に月が逆さまに写りました。それでその器を、逆月(さかづき)=杯 盃と呼ばれるようになりました。
この結婚初夜の床神酒とは、女性は普段は慎ましやかでなければなりませんが、結婚の時まで慎ましやかすぎては、お二方の結びも出来ないし、子孫繁栄にも繋がらないので、新婚初夜の時には、床神酒と言って女性が先にお酒を頂き、ややほんのりとしたところで、先に床について男性を待つのです。だから、女性から先に頂くので「みき」と言うのです。
桃雛木、桃雛実の神様は、この床神酒を頂いて結ばれますが、その晩は燃えに燃えたために、翌朝ほてった身体をさますために、すぐそばの寒川に入りました。
男性の方は、川の中程まで入り、着ていた着物の袖が大きくぬれました。そこでそれからその神様のお名前を、大濡煮神様(ういじに・大きく袖が濡れるという意味)の神様と呼ばれるようになりました。
女性は、川に少しだけ入り、袖が少しだけ濡れましたので、少濡煮神様(すいじに・少し袖が濡れると言う意味)の神様と呼ばれるようになりました。
女の子が生まれたら、すくすくと良い娘さんに育ち、やがて良き伴侶に巡り会って幸せな結婚が出来るように祈ります。雛祭りの時に、アルコールの入っていない白酒を飲んで、三三九度の予行演習をするのです。
「灯りをつけましょ、ぼんぼりに
お花をあげましょ、桃の花
五人囃子に笛太鼓、
今日は、楽しいひな祭り」
と無邪気に歌っているままの娘でいつまでもいて欲しい反面、女性の幸せは良き伴侶と出会い、幸せな結婚をすることでもあります。
女の子が生まれたら、女性の実家からひな人形が贈られると言いますが、そのくらい手塩にかけて大事に育てた娘さんを嫁に出してくれたと言うことを、こうした機会に男性の側も是非受け止めて頂きたいと思います。
ひな祭りは、女の子の幸せを祈るお祭りです。心を込めて祝って差し上げて下さい。
神世七代の神様で国生み伝説に出てこられる「いざなぎの神様、いざなみの神様」は、神世七代の神様の七代目の神様です。
古文献には、この神様は越の国の日成岳(ひなるだけ)に住んでおられたということで、ずいぶんと探しましたが、なかなかわかりませんでした。越の国ですから、越前・越中・越後とあり、越後は上越・中越・下越とあります。最初は越中の立山付近を探しましたが、結果は越前の小浜市から鯖街道を経て琵琶湖へ抜ける途中の百里ヶ岳のことでした。百はももですから、ちゃんと桃の里として残して下さっていたのです。
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