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2012年3月 5日 (月)

第47話 船の神様について

新しく船を造ったときには、造船所では、進水式を行なっています。一般に進水式とは、ドックで組み立てられた船を始めて水に触れさせる儀式で、命名式が行なわれた後、支え綱切断の儀式があり、シャンパンやくす玉が割られ、たくさんの紙吹雪等が舞う中で、ドックに海水が引き込まれ、賑やかに船の完成を祝う儀式のようです。

しかし、その船の運航を守るための儀式は、どうなのでしょうか。豪華客船や絶対に沈まないと思われている船が、沈没したり、座礁したりの事件が起きています。どんなに豪華な船であっても、「板子一枚下は、地獄」と言う言葉があるように、水の上の航行は一つ間違えば船もろとも海の藻屑となりかねない危険と隣り合わせです。そこで安全な航行が出来ることが、なによりも大切なことです。

ですから船には、昔から「船魂(ふなだま)の神様」をお祀りし、航行の安全をお願いしているはずです。今日は、その船魂の神様のお話をしたいと思います。

この神様は、天照大御神様よりも古い神様で、琵琶湖の近くにいらっしゃいます。

一般には、古代の神様については、九州とか大和のことが想起されますが、不思議なことに、前回お話した百里が岳を降ったところに朽木渓谷があり、安曇川として琵琶湖に注いでいます。この琵琶湖周辺も神々の里なのです。それも船に関する神々の里なのです。

まずこの安曇川を枯れ木に鵜が止まって流れていくのをご覧になられた島津彦命は、棹を発明されて、筏舟(いかだふね)を造られました。

その子の沖津彦命は、沖に泳ぐ鴨をご覧になり、その足の水かきから櫂を発明し、鴨舟を造られました。

そして孫の志賀神は帆を発明し、鰐舟を造られ、その後、金析命(かなさくのみこと)は大型の大亀舟を造られました。

これらを整理すると、①島津彦命―②沖津彦命―③志賀命・・④金析命―ハデ神―⑤豊玉姫―⑥みづはのめの神となり、この六神が船魂(ふなだま)六神です。

実際に地図を見ると、琵琶湖に注いでいる安曇川の中程に「朽木」という地名があり、朽木渓谷の名もあります。島津彦命が朽ち木に乗った鵜を見た場所を思わせます。また地図ではそのすぐ下の鴨川には鴨という地名もあり、さらに南下すると志賀があります。

ずっと以前に、「琵琶湖周辺を活性化するにはどうしたらよいでしょうか」と相談を受けたことがあり、「一カ所や二カ所を個々に売り出すよりは、四国八十八ヶ所のように、周遊するようにしたらいかがですか」と申し上げましたが、まずは対岸に天照大御神様のご両親であるイザナギ・イザナミの神様をお祀りしている多賀大社があるのですから、そこに早朝参拝をされ、彦根城を見学してから長浜に行き、お城や黒壁の町並みを見て長浜に泊り、翌朝は船で竹生島に行き、対岸に渡ってこうした場所を尋ねるのも一案だと思います。

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