第68話 神道とは?
「神道とは何なのか、皆さんが理解しておられる神道を、お伺いしてみたいと思うのですね。神道というと、何を思いだされますか。
難しく考えないで、思いつくまま答えてみて下さい。」
伊邪那美の神様が先にお声をかけた、お声をかけたのは女性からだったということでした。その過ちを教えて頂いて、もう一度声をかけ合うことをやり直しました。今度は男性である伊邪那岐の神様からお声を掛け、続いて伊邪那美の神様もまたお声掛けをして、今度はよい結果が出ました。これは「言い直し」をされたということになるのです。
間違った時は、まず見直してみる。それでわからぬ時は聞き直す。そしてはっきりと言い直しをする。「自分はここが間違っていました。だからここをこういうふうに改めます」ということをはっきりと言うことです。
「『見直し、聞き直し、言い直し』ということが大事ですよ」ということを、この神話は教えていたのです。ただの単なる神話だと思って読み過ごしたのでは、こういう教えを受け取ることは出来ません。
さらによくよく注意をして見てみますと、古事記では伊邪那岐の神様は「あなにやしえをとめを」と言い、伊邪那美の神様は「あなにやしえおとこを」と言ったことになっておりますが、秀真伝(ほつまつたえ)では伊邪那岐の神様は「あなにゑや 美し少女に会いぬ」と言い、伊邪那美の神様は「わなにやしうまし男に会いき」と言われたことになっています。
この最初の言葉が、古事記ではどちらも「あ」であるのに対して、秀真伝では伊邪那岐の神様の場合は「あ」ですが、伊邪那美の神様の場合は「わ」になっています。「あ」は「天」を意味し、「わ」は「大地」を表すのです。また「あ」は「男性」を表し、「わ」は「女性」を表します。
伊邪那岐・伊邪那美の神様の国生み伝説のことをもっと詳しく知りたいというご要望がたくさんありました。前話と若干重複するところはありますが、今回は、二神様がご自分達の失敗の理由とこれからは、どうしたらよいかをお伺いするために高天原に行かれた時のことを少し詳しくお話ししたいと思います。
お二人が結婚してはじめに産んだ子供は、背骨のないぐにゃぐにゃな子(ひるこ)でした。
そこで、伊邪那岐・伊邪那美の神様は、どうなさられたかと言いますと、伊邪那岐・伊邪那美の神様は天津神様ですから、高天原へ行って、造化三神の二番目の神様である高御産霊の神様に、「自分達が産んだ子供は、ひ弱な子でうまくいきませんでした。どこが間違っていたのでしょうか。どうすればよろしいのでしょうか」とお聞きになられました。
伊邪那岐・伊邪那美神様(イザナギ・イザナミの神様)は、天の沼矛でかき回して、はじめに出来た小さな島に降り立ちました。それをオノコロ島といいます。
そしてそこに太い大きな柱、天の御柱(あめのみはしら)を立てました。そしてお二方の結婚のための宮殿も建てられました。
その建物を八尋殿(やひろでん)と言います。人の両手をひろげたものが一尋ですから、その八つの大きさの殿を作ったというので、八尋殿と言うのです。