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2012年8月20日 (月)

第71話 天の岩戸に見る、天照大御神様のご神徳

天照大御神様は、日本の最高の神様であり、伊勢神宮にお祀りされている神様であるということは、皆さんもご存知と思います。では「天照大御神様のご神徳は、どのようなことですか」とお尋ねしますと、案外答えにくいのではないでしょうか。

神様には、それぞれお役目があり「知恵の神様」や「武神」「商売の神様」など、受験の時にお願いするとよいと言われている神様や、剣道・柔道などの稽古や試合の時にお願いする神様、商売繁盛を願ってお参りする神様などは、なじみがあると思いますが、天照大御神様はそうした願い事をする時には関係がございません。個々の願い事と言うよりも、国家の繁栄やご皇室の弥栄えなど、天下国家のことを願う神様だからです。

にもかかわらず「一生に一度は、伊勢参り」と言う言葉があるくらい、かつて伊勢講などで、徒歩で何ヶ月もかけてお参りをしていました。そのくらい日本人にとって特別の神様です。

西行法師は、五十鈴川の向こう側から、『何ごとのおわしますかは知らねども、かたじけなさに涙こぼるる』と詠い、トインビーは、伊勢神宮に参拝して「ここに全ての宗教の原点がある」と言われたそうです。

                                                                                                          

一般に言われるご利益(ごりやく)を求めてのお参りではなく、日本人の魂の故郷といえるのではないでしょうか。

そしてご神徳が、わかりにくいのはあまりにも大きなご存在だからです。天照大御神様は、太陽神になぞらえられますが、太陽の恵みやありがたさがあまりにも当たり前すぎてわかりにくいのに似ています。

よく天の岩戸伝説の話でお話しをしますが、天照大御神様が弟のスサノオの神様のあまりの乱暴にお怒りになられ、天の岩戸に隠れ、ぴったりと岩戸の扉を閉めてしまった途端に、今まで明るかった世の中が真っ暗になり、悪い者たちが騒ぎ出したというお話しがあります。

神々様は、天の安河原に集まって会議をし、何とか天照大御神様に岩戸から出て来て頂く方法をご相談されました。

そして天の岩戸の前に、篝火を焚き、天のうずめの神様という名の女神様が、賑やかに、たのしい踊りを踊り、周囲で見ている神々様もそれをはやし、楽しげにどっと笑ったために、岩戸の中の天照大御神様は不審に思い、岩戸をほんの少し明けて「うずめよ、うずめ、私が岩戸の中に隠れ、世の中は真っ暗だというのに何をそんなに楽しげに騒いでいるのですか」と尋ねました。

うずめの神様は「あなた様より貴い神様が来られたのでそのお祝いに舞を舞っているのです」とお答えになりました。

天照大御神様は、「私より貴い神様とは、どんな方だろう」と思われ、岩戸より少し顔をのぞかせて、目の前に出された鏡をのぞき込んでご自分の顔をご覧になったところで、手力男の神様という力の強い神様が天照大御神様の手を引いて岩戸より外にお出ししました。

今まで暗かった世の中は、一瞬にして明るくなりました。神々様は、岩戸にしめ縄を張り、「天照大御神様、もうどうか二度と岩戸にお入りにならないで下さい」とお願いをしました。 

日本には、八百万の神様(やおよろずのかみさま)がいらっしゃると言われ、岩戸の前にも大勢の神様が集まっておられました。しかし八百万の神様すべてを合せたお光りも、天照大御神様お一方のお光りには、はるかに及ばなかったということを表わしています。

ちょうど太陽と星の関係のようなものと思って頂いたらよいのではないでしょうか。たくさんの星があっても、世の中は明るくなりませんが、太陽が出てくればそれ一つで世の中を明るく照らすことが出来ます。

世の中を明るく照らす、人の心や魂、そして人生を明るく照らす、国の将来を明るく照らすということと思います。

だから日本人の魂の故郷なのではないでしょうか。

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