第82話 勤労感謝の日・新嘗祭
11月23日は、勤労感謝の日です。改めて、勤労感謝の日の意味を調べてみました。「勤労を尊び、生産を祝い、人々が互いに感謝する日」と書かれています。
外国の記念日については、あまり詳しくないのですが、外国では、仕事よりもバカンス・レジャーというお国柄の所もありますので、この「勤労」を「感謝」するということが国民の祝日になっている国は、日本の他には少ないのではないかという気がします。
実は「勤労」に対する考え方は、日本の大きな特徴です。
「働く事に、働けることに、感謝する。働く場があることも、働ける健康があることも、ありがたい事だと感じる国民性。しかし、このことが今かなり薄れているように感じます。
「働け!働け!寸暇を惜しんで働け!」の時代から、「よく働き、よく遊ぶ」になり、今は「シブシブ働き、嬉々として遊ぶ」となり、さらには「働かなくても、生活保護」という気持ちの人まで増えてきている時代です。自分一人がどうこうではなく、世の中全体の流れがそうなっていると、それがいいことのように麻痺してしまいます。それでよいのだと。
しかし勝ち残り組は、決してそうではないのです。数は少なくても、「こんなにやるのか」と驚くほど真剣に働いている人はいますし、その結果、良い仕事、良い成果を出して大きく伸びているところもあるからです。
かなり古いギャグになりますが、「赤信号、皆で渉れば怖くない」というのがありました。しかし何人で渉ろうと、危険なものは危険、駄目なものはダメなのです。
「働く事は、出来るだけ少なくしたい」「少しでも休みを多く欲しい」と声を上げ続けた結果が、今、リストラや一時帰休など働く場を失う形で出ているではありませんか。
外国の安い人材に押されたとか、一人一人の努力ではどうにもならない大きな社会の流れはありますし、いろいろな理由はありますが、原因は外にあるだけでなく、自分達の中、内にもあるのだと目を向けて欲しいのです。
勤労感謝の日は、そんな気づきと切り替えの日にして頂けたらと思います。
「しなければならない」「あぁ、やりたくないのに、もう朝か」などと、もし口が滑ったとしても、働けること、そしてそこから何かが生み出されていくこと、何かに貢献していることは、ありがたい事、はじめは少し無理があっても「働けることはありがたい事なんだ」「今日も元気に働くぞ。ありがとう!」といって一日をはじめて頂ければ、一人一人のその思いや動きが、やがて大きな国の気運になって変わって行くと思います。
それは若い人だけでなく、いわゆる定年を過ぎた人にも申し上げたいのです。「もうリタイヤだ。今まで頑張ってきたのだから、趣味に生きる」と言いますが、人は本来、生涯現役を目指すべきで、年齢と共に出来ることは変わるにしても、働く事、何かの役に立つこと、そういう存在であり続けることから背を向けるべきではないと思うのです。
「自分一人くらい、何も出来ないよ」と思うのは大きな間違いです。一人の動きは、全体に影響しますし、あなたのその小さな動きがやがて社会を変えることにも繋がる、そう思います。
ただ良いことよりも、悪いこと、怠惰なことの方が、蔓延しやすいので、いいことの動きを出すまでには、ある程度の時間が必要なのです。だから少しやって、すぐに諦めるようなことはして頂きたくない。
「勤労に感謝するという謙虚な心は、日本人の底にある特徴なのです。自分自身に合わない仕事をしている方は、働く事も苦痛かもしれませんが、自分に合ったことに出会えた人は、仕事が趣味、仕事が生き甲斐、仕事が健康の素になるはずです。
勤労感謝の日に寄せての話だけ致しましたが、11月23日は新嘗祭といい、本当はこちらがさらに本筋です。働く事も働くための健康もその大元を与えて下さった神様に対する感謝の時だからです。
新嘗祭は、一般には収穫祭、秋祭りと呼ばれることもありますが、一年の収穫を神様に感謝する日でもあり、神様と共に働くという喜びを噛みしめる日でもあります。
また2月の祈年祭で、1年の願いごとの祈願された方は、新嘗祭でそのご報告と感謝をのべ、引き続きどうぞよろしくとお願いさせて頂きます。
2月の祈年祭、11月の新嘗祭は、対のもので、共に大祭です。
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