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2013年1月 8日 (火)

第86話 鏡開きとは

鏡開きは、お正月に神様にお供えした鏡餅をお下げして食べる日本の伝統行事です。神様に感謝し、無病息災などを願ってお雑煮やお汁粉などにして食べます。

一般に鏡開きをするのは、歳神様のお供えが終わった後の十一日にするとされています。

鏡餅だから、包丁で切ってはいけない、木槌などで叩くのだという人もいますが、なぜ鏡餅というのか、この伝統にはどんな意味があるのかをお話ししたいと思います。

鏡餅は、二つの丸餅が重なっています。
この二つの丸餅は、上のお餅を「日」に、下のお餅を「月」に、見立てています。これは元旦の、「旦」の字とも通じます。 

「日」は、太陽系の神々様、「月」は、月系統の神々様です。元旦から、十日の間に、太陽系の神様のお力が、その後さらに十日の間に月系統の神様のお力が、そのお餅の中に込められます。

ですから本当の鏡開きは、十日+十日の二十日で両方の神々様のお力が込められた後の二十一日に行います。

十一日で鏡開きをしてしまうと、日の神様と月の神様の両方の神様のお力を授かることが出来ないのです。

その神々様のお力を、一家の長となる方、会社で言えば会社の長=社長が、自分の中に頂きます。これは中心になる方は、太陽と月の力を併せ持って、常に世の中、あるいは社内、家庭内を明るく照らし出し、束ねる必要があり、その力を授るということです。

現在は、お餅はほとんどお店などで買ってきてしまいますが、ご自宅でお餅つきをする時には、他の小さな丸餅などは、子供達も丸めることが出来ますが、この鏡餅だけは、一家の長が必ず作っていました。

子供心にそーっと手を出して触ろうとすると、「ぱしっ」と父親から手をはたかれたりしたものです。

鏡開きは、上のお餅(日の神様)と下のお餅(月の神様)の間を開いて、そこから両方の神様のお力を頂くのです。

一般に鏡開きとは、鏡餅をおろして木槌などで小さくして食べ、無病息災などを願いますが、まずその前に一家の長となる方が、鏡開きとしての儀式(日の神様と月の神様の両方のお力を胸に押し頂いてから)をして、その後にお下げして、皆で食べるとよいと思います。

これは一人暮らしをしている方でも、是非なさって下さい。それをされた方は、お一人で家にいても、不思議と家の中が寒々とした感じにならないと言います。

ところでこの鏡開きが、なぜ十一日にするようになってしまったのでしょうか。それは徳川三代将軍の徳川家光の命日が四月二十日だったために、二十日を避けて十一日になったのが広まったとされています。

徳川時代には、将軍である徳川家の威光に逆らえなかったということもあるとは思いますが、今はその必要はないと思います。神々様のお力を頂いて、どうか素晴らしい一年にして下さい。

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