第88話 伊勢神宮 外宮先拝・外宮先祭の意味
伊勢神宮には、内宮と外宮があります。「どちらから先にお参りしたらよいのでしょうか」と尋ねられますが、これは外宮から先にお参りをする方が良いとされています。
本来は、外宮先拝(げくうせんぱい)・外宮先祭(げくうせんさい)と言って、内宮より外宮の方から「先に拝みます」それから、「先に、外宮から祭りごとをします」と言われているからです。
この外宮先拝・外宮先祭ですが、その理由を「それは、なぜでしょうか?」とお尋ねしても、「昔からの仕来りでそうなっている」のだと言われます。
「なぜでしょうか」という疑問が生じるのは、日本の中心の神様である天照大御神様は、伊勢神宮の内宮にお祀りされているからです。そして外宮に祀られている神様は、豊受神様といって、天照大御神様のお食事を担当しておられる神様だからです。
どちらが主の神様で、どちらがお仕えする神様かということは、ご関係の上ではっきりしています。これはたとえとして良いかどうか分かりませんが、天皇陛下とその料理人といった関係です。この外宮先拝は、ちょうど天皇陛下より先に、料理人の方に挨拶をするといった感じになるのです。
間柄でも、豊受神様は、天照大御神様の姪にあたります。
それなのに、どうして姪っ子の方から、先にお参りするのでしょうか?という疑問が生じませんか。
それは外宮には、天御中主神様がいらっしゃるからです。古事記で、「一番最初にお出ましになられて、お姿をお見せになられなかった」と書かれているお方です。この神様は、天照大御神様よりも、更に上の神様です
外宮に祀られているのではないのですが、「そなた(豊受神様)が天照大御神様に食事を担当して、そこにいるのであれば、自分は稲米を研究していたので、そのことを伝えるぞ」と言って、そこにいつもいらっしゃるからなのです。
日本は、瑞穂の国といわれるくらいですから、主食としてのお米のことはとても大事にされていました。ですから天御中主神様は、常に教えに来ておられるのです。
昔の方の中にそれをお分かりになった方が、いらしたのだろうと思います。姪っ子のところに先に行くと言う理由はないですし、姪っ子の方から、先に祭りをするという理由もないのです。ですが天御中主大神様がいらっしゃるとなれば、天照大御神様よりも更に上のお方になりますから、そちらへ敬意を表して先にお参りするということになります。
ですから伊勢神宮のお参りは、なるべく外宮、内宮の順序で行かれるとよいと思います。
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コメント
はじめまして小坂と申します。神道を少しでも多くの方に認識して頂きたくこんな動画を作りました。
この歳になり、より日本人らしさとは何なのか?
進化に憧れていた若い頃とは少し変わり伝統を肌で感じるようになってきました。
その中で出会ったのが神道でした。
新しい文化を受け入れ、伝統を重んじるバランスの取れた日本人の根源にあるものが神道であると感じております。
神道には教えがないため感じ取るしかありませんが、皆様が感じ取っていただくような動画を作っていきたいと思っています。今後は神道に精通しているいろんな方のインタビュー動画なども作っていきたと思っています。
▼動画は下記のアドレスです。
ttp://youtu.be/kCUwXYRAO90
投稿: 小坂 | 2013年5月 4日 (土) 13時23分