第16話 山を削って、家を建てるのは大丈夫?
新興住宅地などの中には、山肌を削って、そこに次々と家を建てていますが、果たしてこれは大丈夫なのでしょうか。
日本には、八百万の神様がおられ、土地で見ると、山には山の神様、野には野の神様、田には田の神様がいらっしゃいます。そして人が住んでいる土地は、産土(うぶすな)の神様が、守って下さっています。
ならばどこに家を建てても、神様がいらっしゃるのだからいいじゃないかと思われそうですが、実はそうではないのです。
神様の世界は、権限とその範囲が大変に厳格で、他の神様の領域を侵すことは決してなさられないからです。
山は、山の神様の領域です。木々を繁茂させて、そこに住む動物や鳥などの生き物を育み、霧を発生させて水分を調達させたり、その山があることで、強い風を遮ったり、反対に風を巻き起こしたりして、自然の営みをしています。
ところが山を削ると、山が無くなってしまうわけですから、その部分の山の神様のお力は出なくなります。産土の神様から見ても、管轄外ですから、山を削ったところはそのままですと神様の、守りがない空白地帯となってしまうのです。
神様のいらっしゃらない空白地帯には、俗に言う「悪いもの」が集まってきやすくなります。だから事故や病気、諸々のトラブルなども起きやすい場所になってしまうのです。
一般に、地鎮祭は、その土地の祓い清めをして、工事中の安全を祈願する程度にしか思われていませんが、人が住む家を建てることのお願いをさせて頂くと共に、この場合のように山の神様の領域であったときには、産土の神様に管轄替えをお願いするという大事な意味も含まれています。
ですから地鎮祭をしないままで家を建てると、神様の守りのないところで暮らすことになり、特に山を削って住宅地を作るときには、その辺
り一帯が神様のいらっしゃらない空白地帯となってしまうわけですから、現代のような殺伐とした世の中では、「いつ、どこで、何が起きても不思議ない」ということにもなりかねません。
神様のご存在は、守って頂いている時には、案外気がつきにくいものですが、失ってから慌てるよりも、「常に神様と共に暮らさせて頂く」という気持ちで、家を建てるときなども、きちんと神様にお願いをされたらよいと思います。八百万の神様に守って頂いている日本人なのですから。