言霊 「行ってらっしゃい」
一歩家から出ると、いたるところに危険がある。
自分の意志でなくても、交通事故や通り魔などに会わないとも限らない。昨年は、小さな子が誘拐されて殺されてしまう事件も相次いだ
いったん家から出た家族が、安全に、そして元気で過し、帰ってきてほしいという思いがこもった言葉が「行ってらっしゃい」ではないだろうか。その言葉だけで、子供や家族がすべて守れるとは言わないが、口先だけで背を向けたままそっけなく言うのと、玄関まで見送る、または見えなくなるまで見送るのとでは、家族が込める目に見えない「守りのベール」は違うのである。
私の母は、「行って、お帰り」と言って毎朝玄関まで送ってくれていた。「行ってらっしゃい。そして元気で帰っておいで」の略だと思う。それは大人になって故郷に帰省し、東京に戻る日にも、玄関まで出て、ずっと掛け続けてくれている言葉である。
一歩外に出ると何があるかわからない世の中だからこそ、「行ってらっしゃい」そして「行ってまいります」の一言を大事にしたいものである。